家に帰ったら、コタツに息子が寝ていて、コタツの上にはケーキを食べたと思われる空の皿が・・・。
ん?と一瞬思ったら、奥さんが、きょうは息子の21回目の誕生日だといったのさ。
あ、すっかり忘れてたよ。
息子と奥さんと駒吉でお祝いをしたんだと。
その駒吉がきょう死んだ。
息子が友達に会うために出かけて行ったあと、ボクは晩ごはんを食べ始めた。
奥さんは隣でお茶を飲んでいて、いつものように駒吉が奥さんの膝の上に乗って丸まった。ボクがごはんを食べ終わる頃、駒吉が急に体をのけぞらせたかと思うと、舌を出してから、体がっぐったりとなって目を開いたままになった。
さっきまで、奥さんと二人で、猫が10年生きるなんて長生きだよ。最近、病気もしないでよかったね、っていってた矢先にだ。
奥さんはあわてて近所の動物病院へ電話をかけた後、急いで駒吉を病院へ連れて行った。
後から来て、と奥さんはボクにいったんだ。
多分大丈夫。根拠のない自信で、ボクも自転車で病院へ向かった。
病院のドアを開けると、もう動かなくなった駒吉がいたのさ。
心不全だってお医者さんがいった。
ちょっと体重が増えすぎてますねって・・・。
ボクは痩せたなって思ってたんだけど、奥さんは、駒吉の体重が最近増えてるのに気づいて、ちょっとヤバイかなって思っていたんだそうだ。
たぶん、死因は心臓麻痺(ハートアタック)だってボクは思う。
一瞬にして駒吉は連れ去られてしまったんだ。
彼は、1997年9月13日にうちに来た。
太子堂生まれの駒吉は、世田谷から杉並に来たんだよ。
10年たっていた。
気持ちのやさしい猫だった。
こんなやさしい猫は見たことがない。
人にやさしいとは、なんと美徳であることか。
ボクはそのことを駒吉から教わったんだ。
眠るように駒吉は横たわったままだ。
やさしい寝顔だ。永遠にやさしい寝顔なのだ。
徳の高い、ステージの高い生き方をしてきた猫だ。
10年間、ボクら家族を幸せにしてきた猫なのだ。
今度会うときも、また同じ家族でいよう。
あしたは手厚く供養してやろう。
息子の誕生日に、駒吉は死んじゃったのさ。
ありがとう。駒ちゃん。ボクらを幸せにしてくれて!!!
きみも幸せになってくれ!!!
確実に天国で。必ず天国で!!!
はじめ、泣くつもりなんかぜんぜんなかったけど、病院から駒ちゃんを連れて帰った後は、声を上げて泣いていたのさ、俺はさ!!!
ボクら夫婦に最後を看取らせて天国に行ってくれてほんとうにありがとう。