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家族の肖像/母親編(2)

家族の肖像/母親編(2)_d0002395_11374433.jpg ボクのマイナス思考、というか悲観的なものの考え方のベーシックは、おそらく母親譲りのものだろう。ボクには長い間、意識の裏側でうっすら走っている自殺願望のプログラムがあったが、昨年9月に、ボクは自力でこのプログラムの解除に成功した。このプログラムの発効に気づいたのは高校1年の頃(1974年)だから、解除までに30年を要している。このソースは、たぶん母親からのインストールのものだろう。
 一方で、ポップなものや、ガーリー(girly)なものへのサブ・カル的な反応の速さ、というか指向性もまた、母親譲りかもしれない。
 これを証明するのに、XTCのことを語る必要がある。
  
 XTCのデビューは、1978年の〝ホワイト・ミュージック〟である。邦版のタイトルは「気楽にいこうぜ」。原タイトルは「白人の音楽」なのにだ。
 「ブラック・ミュージック(黒人の音楽)」に対抗する、それに対するリスペクトを含んだ、ひねくれものの白人音楽というコンセプトが、どこでどうしてこんなウンコなタイトルになってしまったのか!? 日本デビューのスタートからつまづかされたバンドである。
 そのLP(!)のB面最後の1曲は、ボブ・ディランの〝All Along The Watchtower〟のカヴァーだ。
 イントロからいきなり疾走するアンディー・パートリッジのブルース・ハープに、ベースとドラムスがアフター・ビートでからみつき、原曲の雰囲気を一切とどめぬ超絶的なアレンジが、死ぬほどカッコいい一曲である(もうひとつのカヴァーである、ジミ・ヘンドリックスの同曲と聞き比べ、さらに原曲に当たってみるとこの曲はもっと香ばしい!!)。やむを得ない事情によってこのLPを売ってしまい、後にCDで買い戻した時には、この曲は順番が狂わされ、LPとは違った場所に入っていたので、死ぬほどガッカリさせられたのだ。
 母親は、このアルバムの中の〝Stature Of Liberthy(自由の女神)〟という曲が好きで、掃除をする時にかけてくれ、と妹に頼んだということを、いつか妹から聞いたことがある。
 いいセンスである。見事なものだ。
 地方で主婦にさせておくにはもったいない、とこの時、痛切に思ったものである。
 ボクと妹は、このエピソードと、この母親の感性を愛していた。
 1933年生まれの母親は、この時45歳だった。今では、72歳のお婆さんになってしまった。

 そういえば、母親がAB型なのを、いま思い出した。
by mimiokun3 | 2005-05-03 11:21


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