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時代は変わる。

時代は変わる。_d0002395_1592853.jpg かつてボクが働いていた、写真業界、印刷業界では、この10年間の激甚なデジタル化の流れの中で、絶滅した職種がいくつかあるのだ。

【写真業界】でいうと、
■レタッチ屋さん
  昔は、今みたいにフォトショップみたいな写真修正用のアプリケーションはなかったから、例えば建築物の写真をカタログ・パンフレット等の印刷物に使うとき、建物の周りに写った邪魔な電線なんかは、「レタッチ屋さん」という職種が、四切りくらいに引き伸ばした写真の上に、驚異の職人技で直接エアブラシを使って、ものの見事に消してしまったである。
 値段はもう、「レタッチ屋さん」の言い値みたいなもんだった。1枚何万円も取られたものだ。

 この方法は、印刷原稿である写真に直接手を入れて修正する方法だが、これ以外に、製版入稿の段階で、製版コンピューター「レスポンス」(サイテックス社・イスラエル製。武器製造のノウハウ(ミサイルの軌道制御技術か?)を応用して作られたって何かで読んだか、聞いたかしたことがある)を使うしかなかった。この費用も、けっこう高かったんだ。
 今や、この世から「レタッチ屋さん」は、絶滅した。
■暗室マン(ダイレクトプリント)
 ポジフィルム(スライド状の透過原稿ですね)から引き伸ばす写真のことを「ダイレクトプリント」という。かつて印刷原稿用の主力だったポジフィルムは、今や完全にデジタル・データに取って代わられた。
 したがって、もうポジフィルムの市場は閉ざされてしまったのだ。感材メーカーは、先細った市場に見切りをつけて、このポジフィルムから引き伸ばしをする写真感材である「ダイレクトプリント」の製造を打ち切ってしまった。
 そこで、かつてボクが働いていたプロ・ラボ(プロフェッショナル・フォト・ラボラトリー=現像所)のダイレクトプリントの暗室マン(1981年ボクと同期入社)は、仕事場を失い、昨秋、25年間勤めたその職場を退職したのだと噂で聞いた。
時代は変わる。_d0002395_1881367.jpg 蜷川実花(写真家)は、作品をアナログ・プリントで自作しているはずだが、新聞で「最近どんどんデジタル化が進んで、好きなフィルムが次々に製造中止に・・・・・。私にととって深刻な問題・・・・」と語っている。
 彼女はネガプリント派なのかな?

【印刷業界】
■写植屋さん
 昔、印刷用の原稿は「版下」と呼ばれる台紙に写植(写真植字)や紙焼き(写真プリント)、イラストレーションなどを貼り付けて製版入稿したものである。文字は、全部写植屋さんに頼んで写植を打ってもらい、デザイナーはこれを版下に貼り付けたものだ。 
 今や、デザイナーは、マックの上で文字入力もやってしまう。版下も必要としなくなった。原稿は「データ」としてCDに焼かれてしまうのだ。
 したがって、この世から「写植屋さん」は、絶滅した。
■製版屋さん
  印刷用の版を作る仕事を製版という。通常の印刷は、たいていオフ・セット印刷で、この印刷用の製版には、製版フィルム(Y・M・C・BLの4版が必要)を使う。製版屋さんはこのフィルムを作るのが仕事だが、今や、印刷は、製版フィルムを使わずにデータから直接、印刷〝情報〟を印刷版に焼きつけて刷ってしまえるのだ。
 一部にはまだ、製版フィルムでの印刷方式も残っているが、やがてこの世から確実に製版印刷は消滅する。
  したがって、製版屋さんも確実に絶滅種なのだ。

 時代の流れってコワイ!!
by mimiokun3 | 2007-02-24 15:01 | 自分遺産


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